水虫を治しておくことは、糖尿病のフットケアとしても大切です。
糖尿病患者さんの中には、血糖値が高い状態が続くことで免疫力が低下し、白血球や免疫に関わる細胞の機能が十分に働かなくなるケースが見られます。このような状態では、水虫(白癬菌)を含む病原菌に対する抵抗力が落ちてしまい、水虫に感染しやすくなります。また、糖尿病の合併症として神経障害を発症すると、感覚が鈍くなり、足にできた傷や感染に気づきにくくなることもあります。特に足に起こる水虫は、足の皮膚が破れることで細菌が侵入しやすくなり、最悪の場合、足の壊死や切断に至る可能性もあります。こうしたリスクを避けるためにも、早期の発見と適切な治療が必要です。
このように水虫やその他の足の異常が見られた場合、当院では速やかに皮膚科外来を受診していただくようご案内しております。早期の診断と適切な治療が、重症化を防ぐ鍵となります。
皮膚科外来では顕微鏡を覗いてその場でカビがいるかどうか確認(真菌検査)して診断を確定した上で、適切な治療を継続していただくことが可能です。
糖尿病に関わらず皮膚に関して異常を感じる場合は、医師・薬剤師・看護師にご相談ください。
院長 足羽 敦子
【皮膚科医からのアドバイス】
水虫の場合、自覚症状はあまり当てになりません。痒みがあれば足白癬というわけでもなく、逆に痒くないから足白癬でないとも言えません。いつも診察では「水虫の原因菌はカビの一種です。菌の立場で言えば、こっそり感染してぬくぬくと繁殖したいんです。だから、見つからないようにしたいからかゆみなどの症状は出さないと思ってください」とお伝えしています。かゆみを伴う皮膚疾患はいくつもあり、皮膚科専門医でも皮膚をみただけでは診断はつかないことも多く、真菌検査をして診断を確定する必要があります。

水虫は主に下記の3つのタイプに分類されます。
①足の裏に小さな水ぶくれが生じる小水疱型
暖かい季節に、はじめは一方の足から症状が出ます。
②足の指の間(趾間)が白くふやける趾間型
小さな水ぶくれは順次乾いて角質がむけてきます。むけてきた角質には菌がたくさん含まれます。
※小水疱型、趾間型の多くは涼しくなると自然に治まってきますが、治療せずに放置していると爪白癬を合併してきますのでご注意ください。
③足の裏全体が硬く、時に亀裂を伴ってくる角質増殖型
足の指の間の角質が白くふやけ、それが厚くむける結果、赤みが出たりびらんができたり、時に水ぶくれをともなうことがあります。角質増殖型は両足に生じ、季節的変動がなく、年中を通して痒みはなく、むしろ冬期にはひび割れのため痛いことがあります。また、通常爪白癬を合併していることが多くみられます。
【薬剤師からのアドバイス】
足白癬であれば、病院で処方する薬と同じ主成分の水虫薬が数多く市販されています。

ただし市販薬は白癬菌に効く主成分だけでなく、クロタミトンやジブカインなど痒みなどを止める成分も配合されているため、病院で処方される薬よりかぶれる頻度が高いので注意も必要です。
処方された塗り薬や市販の外用薬を、指の間だけに塗っていませんか?
水虫はカビによる感染症です。症状の無い部分にもカビはいるため、塗り薬は両足の広い範囲に塗っておく必要があります。
水虫はかゆかったり皮がむけたところに、薬を気長に塗っていれば治るといったものではありません。かゆみや水ぶくれ、イコール水虫ではありません。さらには、顕微鏡検査で白癬菌(カビ)がみつかっても、目に見えないカビはきれいな部分にもいる可能性があります。
ただし、治療を始めれば他人へも感染しませんし、カビがいなくなれば再感染しない限り再発はしません。
治療には複数のステップをクリアしなければならず、決して自己判断で治療を中断せず、必ず病気の成り立ちを深く理解している医師あるいは薬剤師の指示に従って治療を終えるようにしてください。