全国的に新型コロナウイルス感染症のまん延により減少していた百日咳の届け出数が2024年から現在にかけて、増加しています。

岡山市でも2025年の届け出が10週(3/3~3/9)時点で13件(暫定値)報告されており、今後も増加することが懸念されます。特に乳児期早期においては、症状が非典型的であり、無呼吸発作からチアノーゼ、痙攣、呼吸停止と重症化する可能性があります。
【感染拡大防止のお願い】
患者から感染させる期間(カタル症状出現~抗菌薬開始5日後までの期間)に接触があった場合は、症状出現に注意をお願いします。また、患者と接触された方は、発病危険期間にカタル症状が出た場合、百日咳患者と接触があったことを伝えた上で受診していただきますようお願いします。
【百日咳について】
百日咳は百日咳菌によって引き起こされる感染症です。1歳以下(特に生後6か月以下)の乳児が感染すると症状が重症化することがあるため注意が必要です。
感染経路
百日咳の主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。飛沫感染とは、百日咳に感染した人がくしゃみや咳をした際に飛散した菌を吸い込むことによって生じる感染です。また、接触感染は咳やくしゃみにより菌が付着することで汚染された手指、器物などを介して生じる感染です。
症状
百日咳の症状は3つの段階(カタル期、痙咳期、回復期)に分けられます。また、成人が感染した場合は、咳などの症状が長期に持続していても、典型的な発作性(けいれん)の咳が見られないことで診断が見のがされてしまうことがあり、注意が必要です。
カタル期(約2週間持続)
百日咳菌に感染後、1週間から10日間程度の潜伏期間を経て、咳などの風邪症状ではじまります。次第に、咳の回数が増えて、程度が激しくなることが特徴です。
痙咳期(約2~3週間持続)
次第に特徴のある発作性けいれんの咳(痙咳)になります。また、咳をした後に息を吸い込むと「ヒュー」という音がでるような特徴があります。咳を繰り返すことで、嘔吐の症状を伴うこともあります。
回復期(約2・3週~)
激しい咳が徐々におさまり、発症後2か月から3か月で回復します。
治療・予防
百日咳の治療には、エリスロマイシンやクラリスロマイシンなどの抗菌薬が有効(生後6か月以上)とされています。
百日咳の予防には、ワクチン接種(四種混合ワクチン)が有効です。四種混合ワクチンの接種可能な年齢は生後2か月からです。また、感染された方は周囲への感染を広げないために、マスクの着用や咳エチケットを行うことが推奨されています。