マグネシウムが不足すると不整脈が生じやすくなることなど、様々な健康被害が出やすくなる事をお聞きになったことはありませんか?
生活習慣や食習慣、環境の変化などによって、現代人のマグネシウム不足はよりいっそう深刻化してきており、慢性的なマグネシウム不足が問題視されています。慢性的に体内のマグネシウムが不足すると虚血性心疾患、動脈硬化症などのリスクが高まることが知られています。
また、吐き気、精神障害などの症状が現れたり、テタニー(筋肉の痙攣)を起こしやすくなったりします。
2024年12月、「European Journal of Nutrition」に掲載されたオーストラリアの研究では、マグネシウム不足がDNA損傷や慢性変性疾患(※)のリスクを高めることが明らかになっています。
(※)慢性変性疾患:長い時間をかけて少しずつ体の細胞や組織が傷つき、元に戻らなくなる病気のこと。
また、多目的コホート研究(JPHC研究)からの「食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患発症との関連について」の報告では、マグネシウム摂取量が多い人ほど虚血性心疾患(心筋梗塞など)のリスクが低いことが確認されています。
引用:食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患発症との関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
このように、最近では、長期的なマグネシウムの不足が、骨粗鬆症、心疾患、糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高める可能性が示され、マグネシウムを上手に補うことがリスク軽減につながる事もわかってきており、今後さらに研究が進められることが期待されてます。
今回はマグネシウムと病気のリスクの関係や起こりうる病気について解説しました。
マグネシウムは私たちの健康にとって欠かせないミネラルであり、研究でもその効果は証明されてきています。日々の生活の中で意識的にマグネシウムを摂取し、病気にまけない健康生活を送るためにも食事療法の大切さをご理解いただければ幸いです。

院長 足羽敦子
【参考】マグネシウムを多く含む食品について
マグネシウムは、藻類、魚介類、穀類、野菜類、豆類などに多く含まれています。
一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品からマグネシウムを多く含む食品を覚えやすくするための有名な「語呂合わせ」をご紹介します。

マグネシウムの過剰摂取に関する注意事項について
マグネシウムを摂り過ぎた場合は、過剰分は尿中に排泄されるので通常の食事では過剰症になることはありませんが、腎機能が低下している場合には高マグネシウム血症が生じやすくなり、血圧低下、吐き気、心電図異常などの症状があらわれます。
また、ダイエットや便秘などに効果があるといって摂取されている「にがり」(主成分は塩化マグネシウム)やサプリメントなど、通常の食事以外でマグネシウムを過剰に摂取すると、下痢を起こすことがあります。このような症状が認められる場合は速やかに医師・薬剤師に相談するよう心がけてください。
注)サプリメントを含むマグネシウム関連製品はSNSなどで様々な製品が紹介されていますので、製品選択においては必ず医師・薬剤師にご相談されることをお勧めします。
マグネシウムに関するファクトシートについては下記のリンクをご参照ください。
厚生労働省eJIM | マグネシウム[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 医療者]https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/08.html